アジリティ能力向上に関するトレーニングと評価とその考察
この夏、夏休みの自由研究として女子フットサル選手のアジリティ能力向上のパーソナルトレーニングを行いましたのでその結果を考察と併せてまとめてみます。
アジリティとは
アジリティとは“俊敏性”や“敏捷性”のことで、スポーツ動作で言う切り返しやターンなどの素早さのことです。
スポーツにおいては単発の切り返しやターンだけではなくそれらを連続して繰り返し行える能力が必要となってきます。
アジリティ能力向上の研究方法と評価
<実施期間>
・7/27~8/22の期間中30分のパーソナルトレーニング5回+αとして宿題
<実施場所>
フットサルコートつかしんAコート
<対象>
フットサルコートつかしんのスクールに通う中学2年生女子
<評価方法>
・プロアジリティテスト
・10m×5シャトルラン
・Tテスト
・反復横跳び(20秒)
・ヘキサゴンドリル
期間中これらのテストの練習は行わず、初回計測と最終計測のみとする。
プロアジリティテスト
プロアジリティテストのやり方は、まず真ん中のラインをまたぎスタートポジションを取ります。
- 5mダッシュしてラインをまたいで切り返します。
- 切り返して10mダッシュしもう一度切り返します。
- スタートの真ん中のラインを越えたらゴールです。
10m×5シャトルラン
10mの間隔でコーンを置き、その間を5回スプリント(ダッシュ)します。
「加速→減速→切り返し→加速→減速→切り返し」の能力が求められます。
T(ティー)テスト
- まず、10mをスプリント(ダッシュ)します。
- 身体の向きは変えずサイドステップで5m
- 切り返して逆にサイドステップで10m
- 再度切り返して5mサイドステップします。
- 身体の向きは変えず、バックステップ(バック走)で10m駆け抜けます。
反復横跳び
1m幅にテープを3本引きます。
20秒間で線を越すか踏むかした回数を計測します。
ヘキサゴンドリル
1辺61㎝の六角形をテープで作ります。(正六角形でなくても良いと思います。)
両足を揃えるようにホップしてラインを越して戻ります。
テンポ良く繰り返し行い2周のタイムを計測します。
アジリティ能力向上のためのトレーニング内容
- アップとして胸椎・股関節のモビリティ
- ヒップヒンジ・スクワットなど股関節(臀部・ハムストリングスの使い方を学習)
- 上記と同様の目的でフォームを意識しながら前後左右のランジ
- プライオメトリクス
- フットワーク
- マーク走
- スクエアアジリティ
など
結果
- プロアジリティテスト 6.81秒→6.71秒(-0.1秒)
- 10m×5 15.43秒→14.89秒(-0.54秒)
- Tテスト 14.29秒→12.82秒(-1.47秒)
- 反復横跳び(20秒) 37回→43回(+6回)
- ヘキサゴンドリル 8.58秒→7.54秒(-1.04秒)
全ての種目において初回計測の数値を上回っていた。
例えば陸上競技のように100分の1秒を争うようなスプリント競技などで考えると0.1秒タイムが縮まることは非常にすごいことで、1秒以上もタイムが縮まった種目もあり劇的に効果があったと考えられる。
考察
今回の女子中学生は、まず“ピッチを刻む(素早く脚を動かす)”や前後や左右に素早く繰り返しライン間をジャンプするような“フットワーク的なクイックネス”が苦手だった。
それに対して、マーク走(3歩幅)でピッチを上げる練習を行ったこと、クイックネスに対してラインジャンプ(前後と左右)を行ったことで地面の接地時間が劇的に短くなった。
また、スキップやアンクルホップなどのプライオメトリクスのトレーニングで地面からの反発力をもらうのが上手くなったことで技術的にも身体的にも1歩のスピードとパワーが向上したこと(実際に最初は6歩幅のマーク走が跳べなかったのが跳べるようになっていた)の2点によって劇的にアジリティ能力が向上したと考える。
また、完全マンツーマンで行ったこともありピンポイントでの介入(指導)が出来たことで接地の位置やターンやステップの技術指導も行えたことも被験者の理解力を一段と深めるに至ったと考える。
これらをもっと多数の集団で行え、結果を出せるようにしていくことがトレーナーとして今後の検証課題となる。